空はもう暗い。


「圭・・・帰ろっか」


「・・・そうだな」


「公園出るまで手、繋いでいい?」


これこそ、最後のわがままだよね・・・。


「良いに決まってんだろ。ここ出るまでお前は俺の彼女だ」


「・・・・圭。ありがとう」


圭を好きになって良かった。



公園の入口までもう少し。


「晴子・・・」


「ん?」


「俺を好きになってくれて、ありがとう」


「・・・うん」


2人同時に公園を出た。



「圭、お互い頑張ろうね」


「・・・おう」


暗くて、あんまり圭の顔が見えない。


でも、なんとなく圭がどんな表情をしているのか想像はできた。


「圭が先に行って」


「晴子が行けよ」


危ないからそう言ってくるているって分かってる。

でも、


「お願い。圭、行って」


あたしはその優しさには甘えられない。


なぜなら・・・


「・・・分かった」


「ごめんね?・・・じゃあ今から友達だよ」


「あぁ・・・空、じゃあな」


『晴子』から『空』・・・。

それは圭にとってのケジメ。


「うん・・・黒木くん、またね」


あたしも『圭』から『黒木くん』へ・・・。



圭は自分の家の方向に歩いて行く。



あたしが圭の優しさに甘えなかったのは、あたしは、その後ろ姿を見たかったから。


見つめたかったからだ。