「今日も暑いね」



小花を散らした、可愛らしいハンカチで額の汗を拭いながら彼女は言った。



「暑いねぇ。朝からこんなに暑いんだから、これからもっと暑くなるね」



と、私は返した。



通学路の団地を私たちは歩いていた。



ここから学校まではあと十分はまだ歩かなければいけない。



クーラーの利いた、スクールバスでも運用してくれればいいのにな。



「もうすぐ夏休みね」



花村さんがそう言った。



「ほんと、早く休みにならないかなぁ」



「夏休みの予定はあるの?」



「暑いから、家に籠もってる」



私がそう言うと、花村さんはうふふと可愛らしく笑う。