少し茶色がかった髪を、また片手でわしわしっと掻いた。



アクビをしたからか、二重ぱっちり目蓋の瞳から、涙がぷるんと浮き出ていた。
 

沢原くんとは、あまり言葉を交わしたことがない。



去年の一年生の時も別々のクラスだったし。



この間の席替えで、初めて隣の席になった。



体の線は細いんだけど、背が高くて、脚がひょろっと長くて、顔なんかも小さくまとまっていて、顎もシャープな沢原くん。



クラスの人気者で、いつも沢原くんの周りには人が集まっている。



いつか、お話してみたいな、とは思うものの、少し引っ込み思案な私は、自分から話しかける勇気さえなかった。



だけど――。