彼女はその場で立ち止まり、僕へ笑顔を向けた。

「陽太!」


ああ。僕はどれほどその声を待っていただろう。



やっとたどり着き、聞けた彼女の声。



僕は美月のもとまで走り、手を膝におき呼吸をしばらく整える。




ドックン ドックン

収まらない心臓の運動。


いやむしろもっと多く心臓が鼓動している。


「どうかしたの?陽太。私に何か用でもあるの?」

美月は僕の急いで走ってきた様子を見て、首を傾げて聞いてくる。



ああ。この心臓の鼓動は美月が前にいるからなんだ。



僕はしばらく喋ることが出来なかった。