だがそれからというもの、俺達がいたずらをしようと企んだ時になぜかあの女がいた。
追いかけられ、叩かれ、時には逃げて、叩かれる。
まさにその繰り返しだ。
「はぁはあ・・・。おっお前まぢでしつこいな・・・。」
「・・・あんたもこれほどやられてんだからいたずらいい加減止めたらどうなの?
女と俺は手を膝において、肩で呼吸を整える。
「俺達は好きでいたずらをしてんじゃねえ・・・。」
「じゃあなんなのよ・・・?」
俺は少し呼吸が落ち着き、すっと立ち上がる。
「母さんも、父さんも家族も近所の婆ちゃんも、誰も俺達二人を別々に見てくれない。
母さんさえもどっちが俺で太陽か喋らないと分かってくれない。
ちゃんと別々に見てほしいんだ。」
そうだ。だから俺達は二人がちゃんと別々に分かって欲しかったから・・・。
「なによ。そんなの簡単じゃない。」
女はすっと立ち上がる。
「ねえ。二人並んでみてよ。」
俺達は訳も分からないまま二人並ぶ。
そのまま女は陽太に指を差し、
「こっちの髪にいつも寝癖がついてるのが、弟の陽太。気が弱いけど、すごく優しい心を持っている、お兄ちゃんをとても信頼しているわ。」
それから俺の方に指を指す。