俺は女に拳を腹に一発いれた。




いやいれたつもりだった。




だが女は拳を受け止め、もう片方の手を宙に挙げた。





パチーン!


気持ちの良い位の音が響いた。
女が俺の頬を思いっきりビンタしたんだ。



俺は少し呆然としてした。


ヒリヒリ痛む頬を押さえながら。




そうすると女は陽太のもとへ行き、陽太の視線に合うようしゃがみこみ、
「もうこんなことしてはダメよ。もちろん兄ちゃんがやろうって言ってもね!」
女は優しく語りかけるように陽太を見て言った。


それを聞き、陽太は何度も首を上下させた。
女はそれを見ると満足したかのように微笑み、ポケットから取り出したキャンディを陽太の手に握らせた。



そして女はもう一度俺にふり返った。