「ちょっとそこのチビ!おばあちゃんに触らないで!」


突然怒鳴り声が聞こえた。

俺は驚き、老人の肩へやろうとしていた手を素早く引っ込めた。



「あんたねえ!そのおばあちゃんは心臓が弱いのよ!?もしあんたが脅かしておばあちゃんが心臓発作でも起こしたりしたらどうなんのよ!?」



強い怒鳴り声が近づいてくる。



「陽太!引き上げるぞ!」

俺は陽太を連れて逃げようとした。


「ちょっと!待ちなさいよ!!」


彼女は追いかけてくる。


うわっ俺達結構足速いのにあの女はんぱねえ!?

気がつくと後ろで逃げていた陽太が女の手によって捕まった。


「うわ~ん!兄ちゃ~ん!!」
陽太は泣き始めた。

「陽太!!」
俺は走るのを止め、陽太のもとへ駆け寄る。

「おっと。行かせないわ。」

女が前に立ちはだかる。

俺は女をギッと睨み、「陽太はこのいたずらには無関係だ!陽太を放せよ!」



女はそれでも陽太の服を掴んだまま放そうとしない。



俺はついに最終手段に出ようとした。


グッと拳を握りしめる。