パチっと目を見開き、あおいは顔をあげた。


「ふじ…」


ドキドキしちゃ駄目だ。

なのに…。


全身で汗をかいて、赤くなった。


藤咲さんは手を乗っけたままだ。


「いつか、夏休みにでもお友達を呼べたらいいですね」


優しく笑うんだ、この人は。
悪気なんてない、無垢な笑顔。


あおいはガチガチに固まりながらも、半分自分に聞かせるように言った。


「…欧米の暮らしが長いんですね藤咲さんは…」


「どうしてです?」


触れられた頭のてっぺんから熱が伝わりそうだ。

どうしてです?なんて。


「何となく思っただけです」


手が離れてからあおいは言った。


ずるいなって、あとから思った。