授業が終わり、あおいは部屋に戻ろうと廊下を歩いた。
その時、通り掛かりの扉の向こうから、ぼそぼそと話し声がした。
家政婦さんらしき声だ。
雰囲気からして私語。初めて聞いた。家政婦さん同士で話し合っているのだろう。
あおいはあまり気に止めずその場を去ろうとした。
だが、突然聞こえてきた声に驚いて立ちすくんだ。
大きな声でも無かったけど、あおいにはいやに反応してしまう言葉。
――…いの藤咲さん。
少し怒ったような声に聞こえた。
――…なたらしくないわよ
怒られてる?
――…やっぱり感じるわね。20じゃね、分からないわ…
はっと聞き入っていた自分に気付き、自己嫌悪を感じて慌ててその場を去った。
藤咲さんが何かしたのだろうか。
怒られるようなことを?
考えられない。
すごいもの見ちゃった気分だ…。
それに……
藤咲さんが、あたしと3つしか違わないなんて。