そうだよ。
そうだった。



私、彼から気持ちを聞いたことない。



あんな優しく笑う姿なんて、もうずっと見てない。



最近はいつも苛々してた。


なぜ?




簡単なことだった。



本当の彼女はあの人だからだったんだね。







二人がタクシーに乗り、去るまで呆然と見ていた。



私に気づく様子もなく、二人は自分たちの世界に入りきっていた。






どうやって帰ったのかわからないけど、気付いたら家で、服も化粧もそのままで、ベットに横になった。



さっきみた光景が、頭に住み着いて離れない。



この6年間はなんだったのかな。



彼にとっての都合のいい女でしかなかったのかな。



思えば思うほど、胸が痛くて、いつのまにか伝う涙も溢れるばかり。