『え?…もしかしてこの間の?』


『多分、な』


二人の視線が私に向く。
視線が痛くて、思わず頷く。


『ご、ごめんねっ!絶対、紘貴なんかと浮気なんてないから!私には愛するダーリンがいるの』



『こいつ、結婚してんだよ』



結婚…。
そうなんだ。
何だか安心した…ってもう関係ないはずなのに。



『5分だけ待ってて』


そう言い初美さんは、部屋から出た。



『そういうことだから。俺は浮気なんてしてねぇ。あいつや家族以外の女と歩くのはお前とだけだ』



「…そうだとしても、私の…」



気持ちは変わらないって言おうとしたのに、急に初美さんが入ってきた。



小さい紙袋を紘貴に渡した。


『これはお詫び。あの日は紘貴にたまたま会ってご飯を食べただけなの』