いつまでもここにはいれない。
部屋でまた思いきり泣こう。


今日ぐらいは、泣かせて。
また明日からは笑顔でいるために。



目が痛い。
泣きすぎたーぁ。



歩きながら、バックから携帯を取り出した。



紘貴にメールをするため。
本当は会って話したかった。


立ち止まりメールを打つ。
余計なことは打たないで、二言だけを打った。


―さようなら。
―幸せになってください。



これで十分。
送信、と。



バイバイ、大好きな人。



私はまた歩き出した。


















『無理に決まってんだろう』



後ろから突然声がした。
聞き覚えのある低く甘い声。


振り向けずにいる私に、近づいてくる足音。