友人の名は秋瀬千代。

 孝久は千代の兄貴分だった。

千代は孝久を慕い、孝久は千代を可愛がっていた。

友人という枠に収まっているが、実際はそれ以上であった二人。

幼さ故に意識できていなかったが、二人は互いに好いていた。

「けど……」

 ──千代はもういない。

 ふざけて度胸試しと言って天窓を飛び跳ね、千代は学校の屋上から転落したのだ。


「はは……」

 思い出したら涙が出てきた。