その時、龍哉の指が微かに動いた気がした。
「龍哉・・?もしヵして・・分かったの・・?ねぇ・・絶対起きて・・?あたし・・ずっと待ってるヵら・・。いつまでもずっと・・待つから・・・」
それヵら奈津さんはあたしに礼を言い続けた。
龍哉と出会ってくれてありがとうと。
龍哉を好きになってくれてありがとうと。
あたしはすごく戸惑ったけど、結城兄ちゃん達は微笑んでいた。

それヵら1時間くらい経ってあたし達は帰ることにした。
「俺実美ちゃん乗せてくヵら、先帰ってろ」
唯兄は実美を後ろに乗せて実美の家へ向かった。
「梨李、帰ろう」
「慎耶はど-すんの・・?」
「俺・・?俺も一応帰るよ・・。でも明日は学校休むよ・・。学校行くとツラいから・・」
「そっか・・。ぢゃああたしも休むよ。ぢゃあまた明後日ね」
「ぉぅ・・・」
そういい残してあたしは結城兄ちゃんのバイクの後ろに乗って家へ向かった。

家に着いてあたしはソファに向かった。
ソファに座ってクッションに顔を埋める。
微かに息をした。
頭の中を駆け巡るのは龍哉との日々だけだった。
何も考えたくないのに思い出しちゃう。
龍哉が死んだら・・・なんてありえないことを考える。
龍哉が置いてくわけない。
そう思っても寂しくて声聞きたくて・・。
すごい逢いたくなる。
すると自然と涙が溢れてきた。
「久々のバイク気持ちい。って、電気点けろよ」
結城兄ちゃんはリビングの電気を点けた。
急に明るくなったから体がびくつく。
「梨李? どうした?」
「結城兄ちゃん・・・」
「泣くなって。龍哉君死んだわけぢゃねぇだろ?触れようと思ったら触れられる。精一杯話しかければきっと叶うヵら。だヵら今は泣くな。龍哉君がまた話せるようになってヵら泣け。そのときの涙としてとっとけ」
結城兄ちゃんは優しくあたしの涙を指で拭いた。
その指が優しくて。温かくて。心に染みた。