遠まわしで、
ハッキリとしない言葉だけど、
あたしにとっては、プロポーズの言葉のように聞こえた―――
「貞永…」
「あと、名字で呼ぶのもこれから禁止。“夫婦”になるのに、名字で呼ぶのはおかしいだろ?」
―――夫婦。
その言葉に、あたしの目から大粒の涙が溢れてくる。
あたしの受け取り方は、間違っていなかったんだ。
本当に、プロポーズの言葉だったんだ。
「ホラ、泣いてないで、左手出して」
「う…うんっ…」
光輝に言われた通りに、あたしは素直に左手を差し出す。
そこの薬指に、ゆっくりと、シンプルなシルバーリングが埋め込まれていった。
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