貞永が日本に帰ってくるまでに答えが分かったら、いくらでもあたしの望みを叶えてくれる。


逆に、あたしがいつまでも分からなかったら、貞永の願いを聞くという、非常にシンプルな仕組み。


あの時の貞永の声を、表情を、息遣いを、今でもリアルに思い出す。




「あれ、分かったか?」




その一言に、ドキン!と再び胸が激しく鼓動を始める。


…本当は、なんとなく気付いていた。


貞永の宿題の答えを言おうか、ずっと迷っていた。



だけど…




「ごめん、分かんないの」




あたしはあえて、答えが分からないフリをしたんだ。



だって…

貞永の望みを、聞いてみたくなったから。




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