…ハズだったんだけど。




「って、ここどこよ!」



「森の中」




普通だろ、というように口に出す貞永を見て、あたしは更に唖然としてしまった。


あたしを乗せた車は、一直線に自宅へと送り届けてくれるモノだと信じていた。


…が。

やっぱりこの男は、最後まであたしを裏切ってくれた訳で。




「も…森の中って…」



「ま、外に出ようか」




あたしは無理矢理助手席から身体を引きずり出されると、貞永に腕を掴まれた状態で、何故か夜の暗い森の中を徒歩で歩くハメに。


貞永の考えが、時々掴めないよ…。




「貞永、アンタ最後くらいは―――」



「ほら、見てみろよ」



「は?って、ぎゃっ…!!」




ポイッと何かを捨てるように、あたしの腕を離した貞永は、どこかを真っ直ぐ見つめている。


乱暴な扱いをする貞永に不満を持ちながら、あたしは貞永の視線の先を追ってみた。




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