それでも、時間は刻々と迫っていく。
「じゃ、また会おうね!」
「寂しいんだったら、連絡くらいしてやってもいいけど?」
打ち上げは後日行うという事になり、冬馬と蘭はあたしにそんな言葉を残すと、素早く現場を後にする。
あの様子だと、今からデートの時間らしい。
「相変わらずだな、あの二人も」
「そうだね」
呆れるように呟く貞永は、今、どんな気持ちで居るのだろう。
マネージャーとしてのあたしを、どんな気持ちで送り出してくれるのだろう。
「じゃ、俺達も帰るか」
「うん」
あたし達はしみじみとした空気の中、色々な思い出がある撮影現場を後にした。
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