あれから時は過ぎ、一ヵ月後、あたし達はスタートラインのクランクアップを迎えていた。
「これにて撮影の全工程は終了です!長い間、お疲れ様でした…!」
拍手と共に、主演を務めた貞永と蘭に、豪華な花束が贈られる。
あたしも周りの人と拍手の音を同化させながら、スタートラインの撮影終了に喜びながらも、どこか寂しさを感じていた。
監督の蛎あたり事件も無事に解決したらしく、辺りは撮影終了という大きなイベントに沸いている。
あたしの謹慎処分は直ぐに解かれ、あの会見の翌日から仕事復帰を果たした。
謹慎中に貞永に付いていてくれたマネージャーも、自分の担当芸能人の元へと戻り、平和な毎日が戻ってきた。
最初は、周囲の反応やマスコミの報道に戸惑う事もあったが、割と想像以上に温かくあたし達の関係は受け止められている。
本当に、支えてくれている人達に、感謝しなければ。
「お疲れみんなっ!」
「うわっ…!誰かと思えば、チビなあゆじゃない」
「うるさいよ、ツンデレ蘭ーっ…!」
そんな中あたしは…
今日を持って、貞永の担当を外れる事になった。
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