小西さんはベテランの貫禄を醸し出しながら、あたし達に近付いてくる。


いつもはあたしの仕事の邪魔ばかりして、頼りない上司だな…と思っていたのに、今日の小西さんは、何かが違った。




「もう認めてあげたらどうかね?無駄な意地の張り合いをするより、そっちの方がスムーズに事が収まると思うのだが」



「ですが、小西さん―――!」



「さっきの会見を見ていただろ?この二人の過去に気付けなかった、我々にも問題があるのだよ」




小西さんは冷たく神風さんに言い残すと、ゆっくりとあたし達の方に視線を向けた。


その表情は、何かを悔やんでいるようで。




「すまなかったね、中森さんに貞永、それに他の人達も」



「い…いえ…」



「私は別に、仕事が上手く行くなら、恋愛が絡んでいてもいいと思っているんだ」



「え…?」



「何か守るモノがあると、人間という生き物は、計り知れないパワーを時に発揮するからね」




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