そう思っていたのは、神風さんも同じで…。




「勝手にするがいい。別に貞永達が居なくなっても、他に看板芸能人が居なくなる訳ではない」



「そうですか。でももし…その人達も全員、居なくなったとしたら…?」




そんな貞永の声が聞こえてきた瞬間、あたしの前に立っていた蘭達が、一気にどこかへと移動し始めた。


あたしは菊池に腕を引かれ、オドオドとした足取りで、ある方向へと向かう。


そう―――神風さんと貞永の元へと。




「神風さん。此処に居るヤツらは、全員俺が立ち上げる芸能事務所に移籍するつもりでいますよ」



「え…?」




貞永の思いがけない言葉に、あたしの口からは思わず声が出てしまった。



蘭も、冬馬も、猛も、

隼人も、菊池も、全員―――?




「俺達だけならまだしも、これだけの数の俳優とマネージャーが移籍してしまったら、結構な痛手だと思いますよ?」



「本気、なのか…?」



「当たり前です。猛の場合、「Truth」メンバー全員が移籍するという事になりますけど、…それでも、俺達にハッピードリームを辞めろ、そう言いますか?」




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