「…才能を、持っていたからだ」




刺々しい、神風さんの声。




「最初見た時から、アイツには才能があると感じた、だから嫌いだった」



「神風さん…」



「才能が無くて努力をした俺を、中森さんは軽く飛び越えていきそうで…ただそれだけの理由だ」




才能、なんかないよ。

こう見えても、あたしだって何度も挫折して、夢を諦めかけて、苦労して。


それでもこうしてマネージャーを続けて居られたのは、「常に前を向いていたから」なんだよ、神風さん…?




「どうしても、俺とあゆ、一緒にハッピードリームに残る事は出来ないんですか…?」



「それは無理だ」




さっきのリアルな感情を見せた神風さんから一変、再び冷酷さを増した神風さんが、貞永の前に姿を現す。


もう…神風さんを止める事は、出来ないのかもしれない。

あたしと貞永、どちらも幸せになる方法など、無いのかもなれない。



そう心の底から思った時、思いもよらぬ貞永の言葉が、あたしの耳を掠めた。




「じゃあ―――

俺とあゆは、ハッピードリームを辞めます」




.