言葉が放たれた瞬間。
あたしの目の前には、無表情と化した冬馬が存在していた。
「あゆ…何が言いたいか、分かんないんだけど…」
「言葉の通りよ。じゃ聞くけど、なんで冬馬は蘭の話になると、オカシイくらいに心配してるの?」
「そりゃ、自分の担当女優だか―――」
明らかに挙動不審な冬馬は、言葉を並べる事を放棄した。
興奮する心を抑えるように、深く深呼吸をする冬馬を見つめていると、ふと冬馬と目が合う。
困ったように眉を下げた冬馬は、諦めたかのように、ハハハ…と笑い出した。
「やっぱり、あゆには敵わないや」
「冬馬…」
「隠し通そうと思っても、すぐに見破っちゃうんだね、あゆは」
ふぅ…と一息ついた冬馬は、するどく追求するあたしに堪忍したのか、全てを語りだした。
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