「もしかして…あゆ、新人マネくんと浮気―――」
「してない!本気でしてない!!」
「へ?でもさっき、「二人だけの秘密です」って―――」
「ほんとそれ誤解だから!あたしに変なイメージを埋め込まないでよ!」
冬馬と居ると、本当にペースを崩されるような気がしてならない。
はぁ…とため息をつくと、「何でため息なんかついてるの?」と言わんばかりに、冬馬がニコニコ笑顔で、あたしの表情を伺っていて。
…鈍器が何かで、冬馬の顔を殴ってやりたい。
こんなに激しい殺意が芽生えたのは、きっと初めてだ。
「冬馬…覚えてなさいよ?」
「かかっておいでよ」
…きっと、三倍返しくらいで返ってくる気がする。
冬馬が見かけによらず、恐ろしい一面を持っているからね。
苦笑いを浮かべながら、あたしはふと思った疑問を、冬馬にぶつけて見る事にした。
「それより、なんで此処に来たの?」
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