こんな表情、見た事がない。
いつも元気でイジワルな菊池が、自らをあざけ笑っている所なんて―――
「前に中森サン言いましたよね?何か抱え込んでるんだったら打ち明けろ、と」
「…言った、けど」
確か、あれはラブクッキングの収録の日だった。
明らかに気力を失っていた菊池を見て、あたしが投げかけたモノが、その言葉で。
「じゃ、今がきっとその時ですね…」
「き…菊池?」
「知りたいんッスよね?俺と蘭の関係を」
「ちょ…!」
強引にあたしに近付いてくる菊池を見て、あたしの脳が危険信号を出す。
…菊池が、壊れかけている。
このままだと、暴走する菊池を、止められなくなる…!
菊池の身体が、あと少しであたしの身体に触れるという時、
―――予想もしない現実を、知る事になった。
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