そう考えながらもリビングでボーッとしてたら、玄関の方から音がした。
「……なに、まだ起きてたの、ガキは寝とけばいいのに。」
目が合った人物に嫌味を言われ、一気に緊張する。
「お、おかえり!久しぶりだね…。」
母である莉奈子(りなこ)に恐る恐る話しかける。
それに対する返事はなく、出されたままになっていた物を足で蹴って退けたりして母はずっと荷物をまとめていた。
「ごめんね、あんまり綺麗に掃除してなくて…、今度はいつ帰ってくる?その時には綺麗にしておくし、ご飯も何か作っておくよ?」
「……。」
昔から母とは会話が続いた記憶がない。
それでもいつも1人で寂しい家に帰ってきてくれる時は、嬉しく感じていた。
「今度も2週間くらい?お母さんビーフシチュー好きだったよね?じっくり時間かけて作っちゃおうかなー!!」
少しでも話がしたくて私からいっぱい話すけど、相変わらず荷物を纏めるばかりで私には見向きもしてくれない。