「まだ何かありました?」



「…その…、なぜそこまでして明かさないのですか?この業界にいろいろあるのはわかりますけどそれでも素性をここまで徹底して隠している人はなかなかいま
せん。なぜですか?」


「それは…「おい、お前!」


私が口を開きかけた時、鬼頭さんによって妨げられた。


「お前目は節穴か?事前に渡した書類に目は通さなかったのか?今回の取材はなかったことにする。それと金輪際お前のところとは取材NGだ!」




「そんなっ!待ってください!これは私個人として質問しただけで会社は…「そんなことは知らん、今お前は○○社の記者としてここにいるんだ、今日の取材はお前が社の代表としてきているんだ、それで失敗して会社に影響があるのは当然のことだろ?この業界甘くみんなよ。」



「ちょっと鬼頭さんいくら何でも言い過ぎよ」


「こいつは約束を破ったんだ当たり前のことを言っただけだ、行くぞユリ。」


かわいそうな記者さんきっと明日には…いや、今日中にクビね。



私のタブーが有名になったのもこの人のせいもある。売れ始めの頃はまだ記者にタブーのことは浸透していなくて、たまに質問してくる人もいた、だけど今のように鬼頭さんが一掃し、相手の会社はどうしても取材NGだけは困るから担当した記者をクビにしてしまうということが何度かあったからだ。



最初は何もそこまでしなくてもと思っていたけど、こうしてくれてたからこそ私は守られているんだと実感してるから、しょうがないと思ってる。


それでもやっぱりクビはかわいそうだけどね。