「…優莉、お前せっかく可愛いんだからもっとおしとやかになれよ、そしたらもっとモテるのに…てか、まじ痛い…」


「いーもん!これが私なんだから!素直にお腹にパンチの方が良かったんじゃない?」


ついでに嫌味も言っておく

それにモテなくて結構!



「まあ、とりあえず今日はお疲れさま」


ようやく態勢を立て直し、話を切り替える誠さん



「そうだ!俺車だから送っていこうか?」


え?今なんて?


急に優しくなる誠さんに少し戸惑う


てゆうか、駅でえっちゃん達待たせてるし…


断ろうとした時


「って思ったけどやっぱやーめた!」


「はぁ!?」


つい、大きな声が出てしまった


そっちから言い出したくせに!社交辞令だとしても一応断ろうとしてた私がなんか恥ずかしいんだけど!


「だって、君のナイトが怖いからね」



「ナイト?」


何それ、人?

私にそんな外国人の友達いたっけ?



私の疑問に気づいたのか誠さんは顎であっちと言って、その方を見てみる



そこには崇哉がいてちょっと遠目から壁に持たれてこっちを見ていた



「なんでいるの?先に行っててって言ったのに…」


「心配だったんじゃない?君のことが」


「…私が?」


眉間にシワを寄せて今度は誠さんの方を向く


「そう、単なる医者がなぜコンクールまで来ているのか、しかも呼び捨てで引き止めて…彼氏だったら普通怒るでしょ?」



「………彼は、彼氏なんかじゃないです」


「あれ?違った?」


よほど確信があったのか誠さんは素っ頓狂な声でおかしいなぁ…とつぶやいていた


あんまり期待させるようなこと言わないでほしいのに…


だってきっと、フラれるんだもんあの彼に、私は今日、フラれるの…