「ごめん、女だけにして…」

今度は優しい声が上からふってきてその声に安堵する

「ううん、崇哉、ありがとう、けんちゃんも!おかげで助かりました」


怖いとかはそんなになかったけど、しつこかったのがね…


「なんもされてない?ほんとに大丈夫?」

けんちゃんは心配性なのか、何度も何度もそうやってえっちゃんに聞いてた

えっちゃんもそれにはちょっとめんどくさくなったのか、最後の方は扱いが適当になっていた(笑)


「それにしてもなんであんなことになってたの?」

けんちゃんの質問にギクリとする


できればそこはつっこまないで欲しかったんだけど…


それはえっちゃんが許さず

「んー、なんかね、私は知らなかったんだけどりっちゃんがモデルのユリさんって人に似てるらしくて、それで声かけられたの」

「あー、確かに似てるかもな、普段もちょっと似てるけど化粧すると特に」

「俺も!初め加納見たときそう思った!」


「先輩もけんちゃんも知ってるんだぁそのモデル、私はそうゆうの疎いから全然わかんなくて…」


「うん、あの子は有名だったからね」


「…私、化粧するのやめようかなぁ…」

化粧をしてこんなことが起こるなら、しない方がいいに決まってる、それにもともとあまり化粧してないし


「そんなこと、言わないでよー、りっちゃんすごく綺麗だよ?」


「だって、似てるってだけでえっちゃんまで巻き込んじゃったんだもん…」


「そんなに気にしないで?さっきのは会話続けちゃった私が悪いんだよ、だからりっちゃんのせいじゃないよ?」


「うん…でも、明日からやっぱ、化粧しないどくよ」


周りの人まで巻き込みたくないもん…


「それって、間違ってない?」


「え?」

えっちゃんとの会話に崇哉が割って入ってきた

「なんで、人のためにお前が我慢しなくちゃいけないの?見苦しいことをしてるならまだしも、モデルに似てる、綺麗だってことを評価されてるのに…それに、人に化粧してあげるくらいなら好きなことなんじゃないの?」


先輩の言葉にドキッとする


確かに化粧するのは好き、それは人にやるのも、自分にやるのも

だけど今みたいなことが起こったらどうすればいいの?実際、すっぴんで出歩いてる時はそんな声かけられることもないし、それだったら化粧くらい我慢する


さっきの人たちはまだ普通だったけど、声かけてきた人たちが危ない人だったらどうするの?



「他人のために我慢するなよ!好きなことをしてたほうが、何倍も楽しい生活になるよ?お前我慢しすぎなんだよ…」


「そうだよりっちゃん、私もっとりっちゃんのこと知りたい!今日のりっちゃん生き生きしてるよ?私は今のりっちゃんが好き!」


「うん、あんな奴ら無視しておけばいいんだよ!」

崇哉、えっちゃん、けんちゃん…

みんな真剣に私のことを考えてくれてる…そんなに言われたらもう反論できないや…


「うん、ごめん…弱音吐いちゃった…、ちゃんと好きなことして、好きなように行動する!でも、また同じようなことが起きた時は迷惑かけるかもしれない…それでもいいの?」


「そん時はまた俺が優莉を守るから…」


「やーん、早瀬先輩イケメンすぎるわその発言!」


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ほんとに、崇哉にはかなわないなぁ


えっちゃんの冷やかしに崇哉はちょっと怒っていたけど、本当にその言葉は真剣でとても安心感を与えてくれた