二人でサボる場所は決まっていつもの公園だった。
一緒に遊具で遊ぶ時もあれば、ベンチに座ってただしゃべってるだけの時もあった。
美紀のことを一番知ってるのも、美紀が一番心を許せるのも、中村先輩だった。
こうやって少しずつ状況は変化していく。
今、一番会いたい人も、美紀のそばにいて欲しい人も、きっとこれからかわっていくんだ。
それが正しいことなのか美紀にはわからない。
でも世界はそんなことお構いなしに回っている。
「じゃ、またね~。」
家まで送ってくれた中村先輩に手を振る。
「あのさ、」
先輩は美紀の方を見ないで切りだした。
「直哉と連絡取ってる?」
彼の見ている先には直ちゃんの家がある。
「取ってないよ。美紀には先輩がいるもん。」
「あっ。わりぃ。そう意味じゃなくて…。
うん。いいや。なんでもない。また明日な!」
先輩が去った後、彼の見ていた方向を見た。
直ちゃんの家は昔も今もそこに存在していて、いつでも目にすることができる。
ただ、直ちゃんの姿を見ることがないだけだった。