彼女の狙いが直ちゃんじゃないならいいや。



美紀と直ちゃんは無言でトイレを出た。





「最悪だな。お前ら。」




後ろに聞こえた柴先輩の冷ややかな声。




ご愁傷さま。







保健室に着くと先生が慌ててタオルを出してくれた。



「ちょっと何があったの!?」



「派手に水遊びし過ぎちゃったぁ。」



「何言ってんだよ!」



笑顔の美紀に直ちゃんが怒りだす。



「いいの!!」



あの人たちは柴先輩と仲良くする美紀が許せなかっただけなんだもん。


美紀にもその気持ちは痛いほどわかる。





好きな人を誰にも渡したくない、ただ、独占したい。


それは、恋心の為せる誰にも攻めることのできない身勝手さ。