目を見開いて固まる直ちゃんを見つめる。
「ひゃっ…!」
突然、直ちゃんに抱きしめられた。
それも力いっぱい。
「直ちゃん。痛いよ…。」
「美紀ちゃん。」
耳元に響く直ちゃんの囁き声。
「ありがと…。」
その声が少し震えているような気がした。
「俺もオヤジか。…うん。がんばる。俺、がんばる。」
産んでいいんだよね?
直ちゃんと美紀の子としてこの子を産めるんだよね?
望まれて産まれるんだよね?
幸せになれるんだよね?この子も美紀も。
直ちゃんの大きな背中に手を回す。
「美紀もがんばる。直ちゃんがいればきっとがんばれる。」
美紀は今、世界一の幸せ者だよ。