それまで黙って見ていたお母さんが口を開いた。
「ところで相手は誰なの?相手の子、まだ知らないんでしょ?美紀が妊娠してること。」
「あ…、うん。」
二人ともよく知ってる人なんだけどな。
「知らないってなんだ!父親だろ!!」
「違うの。美紀が話してないだけで…。
先にお父さんたちに話すべきだって考えたから。」
美紀の答えにお父さんが満足そうに頷いた。
「そりゃそうだ。で、どこのどいつなんだ?」
「そこの…直ちゃん…?」
直ちゃんの家がある方を指差した。もちろん実家の方ね。
「「は?」」
お父さんとお母さんが固まる。
「…あんのクソガキッ!!一緒にキャッチボールしてやった恩を忘れたかぁ!!」
お父さんの怒鳴り声が響いた。
そういえばお父さんと直ちゃんって仲良かったなぁ。
「ヤダ。だったら絶対に可愛い子が産まれるじゃない。ラッキー。」
のん気なお母さんにお父さんと二人で呆れるしかなかった。