美紀とお父さん。お互いに見つめ合う…というかにらみ合う。


お父さんの目は明らかに産むなと言っている。


それでも美紀は屈することはできないの。


怒鳴られてもいい。
殴られてもいい。
勘当されてもいい。



産みたいの。



「美紀は…、お父さんとお母さんの子供に産まれて良かったって思ってる。美紀を育ててくれたことに心の底から感謝してる。美紀の人生すごく幸せだったよ。
この子ができてから本気でそう感じた。この子のおかげでそれに気づけた。
だから…、だからこそ思ったの。美紀は絶対にこの子を産む。」



涙を必死に我慢する。だってお母さんになるんだもん。



「産まないと一生後悔する。」



怖くて逃げたいけど我慢する。だって親になるんだもん。



「お父さん。これは相談じゃないから。報告だから。」



美紀の意思は固いんだ!!




「はぁ~~~…。」




ずっと黙ってたお父さんがため息をついた。



それは体中の酸素がなくなっちゃうかと思うくらい大きなため息だった。



「うん。わかった。」



え?