恭ちゃんの顔が苦痛に歪む。
「夕里はさ、納得しないんだ。親なんて関係ないって、絶対に別れないって。
別れないといけないってわかってるんだけど、俺…、それがすっげー嬉しくて。」
テーブルの上に置かれた恭ちゃんの手に力が入るのが分かった。
「…って、こんな話されても困るよな。」
「そんなことない!そんなことないよ。恭ちゃん。」
「みっきー。」
「ん?」
「好きなヤツがいるならちゃんと言えよ?好きだって言えよ?
俺はもう…あいつに好きだなんて言えないから。」
自然と涙がこぼれた。
美紀、何やってんだろう。
お父さんに秘密を作って、お母さんに迷惑をかけて、
直ちゃんに伝えるべきことも伝えてない。
「みっきー!?」
恭ちゃんが慌てる。
「ごめん。何でもない。大丈夫だから。」
その時、美紀の手は自然とお腹をさすっていた。