変わったのは声だけじゃない。
背も伸びた気がする。
色も少し黒くなった。
体だってこんなに筋肉質だった?
ピアスの穴は確実に増えてる。
「お〜い。美紀さ〜ん。聞いてる〜?」
直ちゃんが美紀の顔の前で手を振る。
「あっ。ごめん。
今日はね、ちょっとした事情でお休み。」
「…つまりサボり?」
懐かしいその響きは中学の頃、一緒に授業を抜け出しては公園に行っていたことを思い出させる。
「直ちゃんこそ。学校は?」
「あれ?聞いてない?俺、辞めたんだけど。1年の途中で。」
「そーなの!?全然知らなかった。」
驚いてから思い出す。
中村先輩が美紀に直ちゃんの話を持ち出したのはこのことがあったからなんだ。
「今は大工の見習いしてんだよ。ほら!」
直ちゃんはそう言いながらシャツの袖をまくって腕の力こぶを見せた。