男の人の怒った声が上からした。



「ごめんなさい~。」



なんとか体勢を整えながら謝った。



「「あ。」」



二人の声が重なる。




美紀の目の前には黒い傘をさす直ちゃんがいた。



「直ちゃん…。」




突然過ぎて何も言えなくなってしまう。




「久しぶり。」




何年ぶりにこの声を聞いたのだろう。



何年ぶりにこの姿を見れたのだろう。




たったそれだけのことに泣きそうになった。





「あれ?美紀ちゃん、学校は?」




美紀に尋ねるその声は以前よりも少し低く聞こえる。