岡道君は、あたしが返事を返す前にサッサと背中を向けて廊下を歩いていった。

途中で、友達に絡まれてそのまま渡り廊下を右に曲がる。あたしは見えなくなるまで視線をとられて、まじで、やばい、とか訳の分からない意識。

あのね、こんな、軽ーいスキンシップでさえ、単純な乙女なら期待してしまう。もしかしたら、普通以上の関係になれるんじゃないか、とか。




だけど、






「宮澤?何ボーっとしてんの?あ、また『岡道君』?」


少し呆れた低い冷めた声で我に返る。



「…うるさいよ、佐山」


あたしはすでに熱の引いた顔で睨んでやった。