あたしは思わず、下を向く。なんなのよ。


「いいのか?」

「え?」

「んな顔、ヒロヤ君以外にしても」

「なっ」


覗き込む佐山の顔が近い。かかる吐息が熱い。てゆうか、うまいタイミングで人気がなくなった廊下が嫌だ。ていうか、もう、



「…もう、佐山嫌だ。」


本当、嫌。



「は?」


「あたしの事、好きみたいじゃん。馬鹿じゃない」



言ってしまった。だって、仕方ない。もう、口から出てた。