「じゃ、コイツ大丈夫そうなんで。俺、練習行ってきますわ。」


そういって椅子から立ち上がった野球児。


えー。帰っちゃうの?

つかアンタのせいで、記憶喪失になったんだよ。

どーしてくれんの?

つか記憶喪失って記憶喪失になる前のコト覚えてんの?

それって、もはや記憶喪失じゃないんじゃ…


「なんや。んな顔して。寂しいんか?」

「へっ!?」

いきなりドアップの野球児。
あたしはバッと後ろにひいた。

つか。あたし寂しい顔してた?

「そういえば先生はこれから会議だから。もう保健室閉めなきゃならないの。だから高石くんが責任もって、中澤さんを送ってあげて?ごめんね中澤さん♪」


そ…そんなぁ…

つか送ってもらわなくていいし!

「あー、はい。じゃあ責任持って送らせていただきますわ。」


いきなり野球児に腕を引っ張られ立たされ強引に保健室に出された。

「さっ、帰るで。」

いやいや…あたし怪我人だよ?

それ以前に記憶喪失だよ?

そんなコト考えてる余裕もなく
野球児はあたしのバッグを持ち
門に向かってった。


あたしのバッグ…っ