空に舞うアゲハ蝶。

雲一つない青を背景にひらひらと優雅に舞っている。


その時、強い風が吹いた。
途端に目をつむった。


風が止み目を開けたら
アゲハ蝶はもういなかった。

飛ばされちゃったのかなぁ…


「おーい、ボール行ったよー!」


突然、聞こえた声。

頭上には野球の球。


「えぇぇっ!?」


あたしは訳も分からず強く瞼を
閉じた。

ゴツン…っ


「いたっ…」


鈍い音と同時に頭に衝撃的な痛みが走った。


「お前っ…ちょっ大丈夫かよ!」


瞼を開ければ苦笑いの男子。


頭、くらくらする…。

やばい。目開けてらんない…








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見えたのは天井。

つん、と香る独特の香り。


ここ…

もしかして…

「あー、目ぇ開けた!せんせー。」


「あらっ、ホントだ。」



目に映ったのはさっきの野球児。
…と、保健の先生。