(一緒に遅刻してきたし。仲いいんだ、この二人)

 サハナより幾分年上に見える彼女は、サレンスと対等に会話をしているように見えて、その大人な余裕のある態度が酷く羨ましい。
 その上、彼女の年上の幼馴染はうっとりとクラウンを見つめている。
 綺麗なおねえさんの一人や二人くらいはよいことにしてあげると前に言った事があるものの、それはそれでなんだか少し腹立たしい。

(そういえば、サレンスさん、雷電の民の人に髪飾りもらったって言って。あれっ)

 今日はサレンスの綺麗な銀髪にあの金細工の髪飾りが見当たらないのに気づく。

「サレンスさん、今日はあの髪飾りは?」

 サハナの問をクラウンが重ねる。

「せや、どうしたん?」

 しかし、二人の問いに答えたのはレジィの方であった。

「それ僕が預かってます」
「私が持っていると、失くしたり壊したりしかねないんだそうだ」

 少年の言葉をサレンスがあくまで他人事のように補足する。

「あれは護符や。身に着けてないと効果ないんや」

 クラウンの説明にレジィがサレンスを睨む。

「そうなんですか。サレンス様、何もおっしゃらないから」
「何の話だ?」

 一人、話が見えないアウルが口を挟むと、クラウンの黄金の瞳がきらりと輝きを放った。