私は川村里奈が
屋上から立ち去ったのを
見て唖然とした


姫川は川村里奈が…

……好きなんじゃないの?


そう思っていたら


屋上の扉から私のいる
フェンスの方に来て
体育座りをしている私と
同じようにしゃがみ込み
下から覗きこんで


『どうしたんだ?』


姫川の心配そうな顔を見て
私はまた瞳から
涙が流れた
姫川は泣いている私を見て
そっと頭を、よしよしと
撫でてくれた



やっぱり姫川が好きだよ……




けれど一瞬…
ほんの一瞬だけ…

何故か…山口の悲しそうな
顔が浮かんだのは
何故なんだろ………?