下げた視線に、ミチルくんの足元が見える。

ぎゅっとジャージを握り締め、あたしはミチルくんの答えを待つ。



…でも。




「エース!」


西くんの声に顔を上げたあたしの視界に映ったのは、再び締められた扉。

ガチャン、と音を立てミチルくんは扉の向こう側に見えなくなった。


その様子を
あたしはただ呆然と眺め、その場に立ち尽くす。



固く固く閉ざされた扉。

それは、あたしがミチルくんの心の“トビラ”を開けなかったということ。



「…ミーコちゃん、」



みんなの努力は、報われなかったということだ。



呆然と扉を見つめ、心の拠り所を探す。


どうすればいいのか、どうしたらいいのか

何も考えられなくて。



ペタン、と座り込んだあたしの肩を西くんが支えてくれた。

けれど溢れる涙が、あたしの視界を揺らし全てを滲ませてゆく。



…ねぇ、ミチルくん。




「……っ、」



やっぱりあたしじゃ

ミチルくんのトビラを開くことは出来ないの?