扉から覗かせたその顔は

驚いてるというよりも、どちらかと言えば怪訝そうな雰囲気。



「…お前、何してんの?」


その声も、まさに寝起きって感じで。


申し訳なさを感じつつ、あたしは懸命に説明しようと試みた。


「とっ、突然来てごめんなさい!あ、あの、」

「…つーか、お前体育祭は?」

「そのこと、なんですけど…。」


でも、何故だろう。

本人を前にすると、どうにも上手く言葉が出て来ない。



すると、そこに割り込むように聞こえた声。


「エース、実は俺たちそのことで話があるんです。」


救世主、西くんだ。



「…西、お前まで何やって…、」

「とりあえず時間ないんで、着替えて下さい!」

「は?」


状況が理解出来ず、ミチルくんの顔に苛立ちの色が見える。

でも、ここで挫ける訳にはいかないんだ。



「あのなぁ、どうゆうことか説明、」

「お願いしますっ!」


だからあたしは、ミチルくんに向かって頭を下げた。

そして念を押すようにもう一度言う。


「お願いします!」


みんなの思いをムダにしない為に。

ミチルくんの為に。