「んじゃ、あと少しだし、とっととやっちゃいますか!」
「うん!」
西くんの掛け声に、あたしたちは再び掃除を開始する。
と言っても、ミチルくんは何もしないけれど。
結局、掃除を終えたのは学校を出て4時間も経った頃だった。
散々コキ使われたけど
ミチルくんは出前のラーメンを、あたしと西くんに奢ってくれて。
送ってあげる、と言う西くんの申し出を頑なに断り、家に着いたのは夜10時前。
お母さんが怒ってたけれど、疲れていたせいか、説教を聞く気にもなれず。
お風呂に入ったあたしは、11時にはぐっすり寝てしまった。
――あの時。
『何って、雰囲気。』
あたしも雨が大好きなのに
咄嗟に誤魔化してしまったのは、自分だけの秘密にしておきたかったから。
何となく、西くんには知られたくなかった。
あたしだけが知ってる、ミチルくんとあたしの共通点。
『俺は好きだけど。』
怖いくせに、実はよく笑うとこも。
女性恐怖症なのに、アダルトDVDを見るってことも。
雨が好き、ってとこも。
みんなが知らないミチルくんを。
あたしだけの胸に、しまっておきたいと思ったんだ。