嬉しかった。
今まで、ほとんどと言っていい程、誰も共感してくれなかった。
雨が好きだっていうことも。
あの雰囲気が好きだっていうことも。
誰ひとり、同じ思いの人はいなかった。
でも、ここに居た。
あたしと同じ考えの人が、居たんだ―――。
「ミーコちゃん?」
名前を呼ばれ、ハッと我に返る。
すると、唖然とした二人があたしを見ていた。
だからあたしは取り繕うように慌てて言う。
「あ、えっと…その、あっ!オ、オレンジジュース!あたしも好きだなー、って!」
あはは~!と笑いながら、ジュースをゴクリと飲み込んでみた。
なんて下手な誤魔化し方。
だけど、西くんには通じたみたい。
「何だー、てっきり雨のことかと思った!」
「あはは!ご、ごめんね!」
「ほら、やっぱり雨が好きだなんてエースくらいですよ~。」
「悪かったな。」
ブスっとしながらも、ミチルくんはあっという間にサイダーを飲み干す。
そんな彼の横顔を盗み見て、ふぅと溜め息をついた。