あれから二日が経ち、その日は梅雨特有のどしゃ降りだった。
実はあたし、雨が大好きだ。
明日香ちゃんやヒナちゃんは、「化粧が崩れる!」とか言って嫌いみたいだけど
大嫌いな外での体育が体育館になるし
いつもは自転車で学校前の坂道を登らなきゃいけないけど、雨の日はバスで来られるし
何より、あの雰囲気が落ち着く。
元々ネコっ毛だから、髪がペタンコになるのは仕方ない。
なのに、その日は違った。
「これ。」
目の前の人物に、完全に目が点。
あたしだけじゃなく、クラスのみんなも、だ。
「ど、どどどどうして、」
「この前、お前に借りっぱなしだったから。」
返しに来た、と紙袋を差し出す彼…。
そう、ミチルくんだ。
通称、エース。
「言っとくけど、洗ってねーぞ。」
「だい、大丈夫です!」
「あっそ。んじゃ、俺行くわ。」
そう言って手を上げ
廊下を歩いてゆくミチルくん。
周りに居た人たちが、道を空けるように端へ寄ってゆく。
あたしはその後ろ姿を紙袋を手に、ポカンと口を開けたまま見つめていた。
そして、ふいにポンポン、と二回程叩かれた肩。
振り返れば、そこには
「ちょっといい?みぃこちゃん。」
ニッコリと笑う明日香ちゃん、以下省略。