ところが勢いよく差し出したはいいものの、アメがあたしの手から取られることはない。

でも、一度出した手は引っ込みがつかず。



「あ、あの…。」

恐怖心と戦い、思い切って訊いてみた。


「アメは嫌い、ですか…?」


すると、ミチルくんは薄目であたしを見上げ、ボソッと呟く。


「…投げろ。」

「え?」


な、投げろ?アメを?



そこであたしは思い出す。

『だからエースは女の子に触られると、ジンマシンが出るんだよ。』



だから受け取らないんだ…。
そっか、そうゆうことか!



納得し、あたしはアメをミチルくんへと投げた。

それを見事にミチルくんは手でキャッチして。


「…んじゃ、遠慮なく。」

と、透明のビニールを破り、アメを口に含んだ。



何だかそれが無性におかしくて。


「……ふっ、」

「…あ?」

「んはははっ!」

「てめぇ、何笑ってんだ!」


あたしは何故か声をあげて笑ってしまった。



もちろん、この後
例の眼光に睨まれ、怒られたのは言うまでもないでしょう。