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優しい風が
木の枝にぶら下げられたパーカと学ランを揺らす。
燦々と降り注ぐ太陽は、うんと高い位置であたしたちを見下ろしていた。
そう、あたしと“ミチルくん”を。
「申し訳ありませんでしたっ!」
そしてあたしは只今、心を込めて土下座中。
「つーか、下も濡れてんじゃねーか。」
その声は、やっぱり不機嫌そうで。
聞こえる溜め息に、あたしはオデコを芝生に擦りつけたまま、同じ言葉を繰り返した。
「本当に、申し訳ありませんっ!」
許して欲しい、なんて言わない。
でも、お願いだからあたしを殺さないでっ!
まだ恋もしたことないんですー!
そう心で唱えながら、頭を上げれずに居ると。
「もういいから、顔上げろ。」
そんな言葉が、あたしの耳に届いた。
「へっ!?」
空耳かと思い、弾かれるように顔を上げた先には……。
「きゃああああっ!」
上半身ハダカ、のミチルくんが居たのでした。